1.空き家の片付けが必要な理由
放置すると様々な問題が発生する
空き家を放置すると、様々な問題が発生する可能性があります。
まず、空き家には様々な不快害虫が住み着きやすく、近隣に被害が及ぶ恐れがあります。ゴキブリやネズミなどが発生すれば、周辺住民の生活環境が著しく悪化します。
加えて、空き家は老朽化が進み、いつ倒壊するかわかりません。倒壊すれば、人的被害のみならず、隣接する住宅や道路にも多大な損害を与えかねません。
さらに、空き家は犯罪の温床にもなりかねません。不審者が不法に立ち入り、犯罪の実行場所として利用されれば、周辺地域の治安が著しく悪化します。
主な問題点 |
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不快害虫の発生 |
老朽化による倒壊の危険性 |
不審者の立ち入りによる治安の悪化 |
このように、空き家を放置すれば、様々な問題が生じる可能性が高くなります。適切な対策を講じることが求められます。
空き家対策特別措置法の制定
近年、空き家が増加傾向にあり、適切な管理が行われていない空き家は防災、衛生、景観等の面で、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。このため、2015年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家対策特別措置法)が施行されました。
この法律は、以下の3つの重要な柱から成り立っています。
柱 | 内容 |
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1.空き家等に関する対策の推進 | 国や地方公共団体による空き家等対策計画の作成や、空き家等の所有者等の責務を定めています。 |
2.空き家等の所有者等の責務 | 周辺の生活環境に悪影響がある恐れのある空き家等については、適切な管理を義務付けています。 |
3.特定空家等に対する措置等 | 著しく保安上危険で、周辺の生活環境に重大な影響を与えている特定の空き家等については、除却等の措置を講ずることができるようになりました。 |
このように、空き家の問題に対する国や地方公共団体の責務が明確化され、所有者への適切な管理の義務付けや、最悪の場合の行政代執行が可能となりました。空き家の片付けを行う際には、この法律の内容を理解しておくことが重要です。
2.空き家の片付けを自力で行う場合
自力で片付けできるケース
空き家の片付けは、自力で行えるケースもあります。軽度な汚れや片付けが必要な場合、家族で協力しながら自力で片付けることができます。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 害虫対策
放置された空き家には、ゴキブリやネズミなどの害虫が住み着いている可能性があります。片付け作業の前に、専門業者による一時的な害虫駆除を行うことをおすすめします。 - ゴミの仕分け
空き家からは、不用品や家財道具などさまざまなゴミが出ます。ゴミを適切に分別し、市区町村の指定する方法で処分する必要があります。
ゴミの種類 | 処分方法 |
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家具や家電 | 指定の収集日や収集所に出す |
粗大ゴミ | 収集を申し込む |
紙くず | 燃えるゴミとして出す |
- 家の清掃
ゴミを処分した後は、家全体を念入りに清掃します。放置されていた期間が長ければ長いほど、徹底した清掃が必要になります。
効率よく作業を進めるには、基本的に「捨てる」心構えが大切です。部屋ごとに作業を行い、家族で事前に打ち合わせをしておくと円滑に進めることができます。
自力で片付ける手順
– 害虫対策
空き家の片付けにあたっては、害虫対策は欠かせません。長期間放置された家屋には、ゴキブリやシロアリ、ねずみなどの害虫が住み着いている可能性が高いからです。
害虫駆除には、まず専用の殺虫剤を使用します。特に押入れや隙間、排水口など、害虫が潜む場所には重点的に散布しましょう。また、広範囲に散布した後は、換気扇を回して室内の空気を入れ替えることが大切です。
主な害虫 | 主な対策 |
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ゴキブリ | 殺虫剤散布、ゴキブリホイホイの設置 |
シロアリ | 殺虫剤散布、防蟻剤の注入 |
ねずみ | 殺鼠剤の散布、ねずみ取り器の設置 |
害虫駆除後は、害虫の死骸やフンなどを徹底的に除去しましょう。そうでなければ、新たな害虫を呼び込む恐れがあります。害虫駆除は、作業の最初に行うことが賢明です。
– ゴミの仕分け
空き家の片付けでは、まずゴミの仕分けが重要です。ゴミの種類によって、処分方法が異なるためです。一般的に以下のように仕分けをすることをおすすめします。
種類 | 具体例 |
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可燃ゴミ | 紙くず、木くず、布類など |
不燃ゴミ | ガラス、金属、陶器など |
粗大ゴミ | 家具、家電製品など |
産業廃棄物 | 石膏ボード、トタン、アスベストなど |
可燃ゴミと不燃ゴミは、市区町村の指定のゴミ袋に分別して出す必要があります。 粗大ゴミは、収集日や収集方法がそれぞれ異なるため、自治体に確認が必要です。
産業廃棄物は、一般のゴミとは別に専門の業者に処理を依頼しなければなりません。特に、石綿(アスベスト)を含む廃棄物は、法令で適切な処理が義務付けられています。適切な処理を行わないと、高額な罰金が課される可能性もあります。
このように、ゴミの仕分けは手間がかかりますが、法令を守り、環境に配慮することが大切です。
– ゴミの処分
空き家の片付けで発生したゴミは、適切に処分する必要があります。ゴミの種類によって処分方法が異なるため、分別を徹底しましょう。
一般的な分別区分は以下の通りです。
分別区分 | 例 |
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可燃ゴミ | 紙くず、木くず、布類など |
不燃ゴミ | ガラス、陶器、金属類など |
粗大ゴミ | 家具、家電製品など |
産業廃棄物 | 建築廃材、タイルなど |
可燃ゴミと不燃ゴミは、自治体の定める収集日に合わせて出す必要があります。粗大ゴミは有料で収集を申し込む必要がある場合が多いです。
産業廃棄物は一般家庭から出る量を超えると法的に産業廃棄物として扱われ、専門業者に処理を委託しなければなりません。費用がかさむため、あらかじめ見積もりを取ることをおすすめします。
ゴミの処分は、単に捨てるだけでなく分別と適切な方法を守ることが大切です。処分ルールを無視すると、罰金が課される可能性もあるので気をつけましょう。
– 家の清掃
空き家の片付けが一通り終わったら、最後に家の清掃を行う必要があります。長年放置されていた家は、ゴミや埃が溜まり、カビや湿気の影響で汚れが目立ちます。
清掃の手順は以下の通りです。
- 窓を全開にし、換気を十分に行う
- 天井や壁など高い場所から順に掃除機で埃を吸い取る
- 同様に床も掃除機で埃を吸い取る
- 家具や建具、壁面などを中性洗剤で拭き掃除する
- 最後に床を水拭きする
特に注意が必要なのは、カビが発生していた場所の除去です。汚れが目立つ箇所は、カビ取り剤などを使って徹底的に拭き取りましょう。作業時はマスクを着用し、カビの胞子を吸い込まないよう気をつけます。
カビが広範囲に発生していた場合は、一般家庭用の除去剤では不十分です。専門業者に依頼し、カビ除去を行うのがベストな方法といえるでしょう。
効率よく進めるコツ
– 基本的に捨てる心構えが大切
空き家の片付けでは、基本的に「捨てる」心構えが何よりも大切です。長年住んでいた家ですから、思い出の品々が多数あり、なかなか手放せないものが出てくるでしょう。しかし、それらを全て残して新居に運ぶことは現実的ではありません。
残すべき品 | 捨てるべき品 |
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現金や貴金属など高価な品 | 食品や日用品など消耗品 |
家族の大切な記念品 | 古い雑誌や新聞 |
アンティーク品など希少価値の高い品 | 不要な書類 |
必要な家電製品 | 古くて使えない家具家電 |
このように優先順位をつけて、思い切って捨てる決心が必要です。捨てるべき品は徹底して処分し、新しい生活に必要最低限の品だけを残す心構えが大切なのです。
– 部屋ごとに片付ける
空き家の片付けでは、部屋ごとに片付けを進めることをおすすめします。部屋ごとに区切ることで、作業の見通しがつきやすくなり、効率的に作業を進められます。
具体的には、以下の手順で進めるのがよいでしょう。
- 部屋の優先順位を決める
- 1部屋ずつ作業する
- 不要品を仕分ける
- 必要品は別の場所に移動
- 床や壁の清掃を行う
- 次の部屋へ移る
部屋の優先順位例 |
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1. 居間 |
2. 台所 |
3. 洗面所・トイレ |
4. 寝室 |
5. 納戸 |
このように、生活の中心となる居間から始め、人が立ち入る機会の多い部屋を優先して片付けていくと効率的です。
部屋ごとに作業を区切ることで、「この部屋はもう片付いた」と達成感を感じられ、モチベーションの維持にもつながります。また、作業の進捗状況が一目でわかるので、スムーズに作業を進められるでしょう。
– 家族と事前に相談する
空き家の片付けを自力で行う際は、家族と事前によく相談することが重要です。片付けの大変さや費用の見積もりなど、家族全員で共有しておくべき点が多くあります。
具体的には、以下の点について話し合うとスムーズに進められます。
話し合うべき点 | 例 |
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片付けの目的 | 売却のため、賃貸のため、実家の片付けなど |
家族全員の役割分担 | 誰が主導し、誰が手伝うのか |
捨てるものの基準 | 感情的価値の有無、売却可能性など |
費用の上限 | 自力の場合は最低限の費用に抑える |
期間の目安 | 複数回に分けて片付けるのか、一気に済ますのか |
加えて、思い出の品などについては、全員で確認を行う必要があります。家族の中で意見が分かれる可能性もあるため、綿密な調整が欠かせません。
このように、家族全員で方針を決めた上で、空き家の片付けに取り組むことが大切なのです。
3.業者に依頼すべきケース
自力では対応が困難な状況
空き家の片付けを自力で行うには限界があります。以下のような状況では、専門の業者に依頼することをおすすめします。
- 家財道具が多量にあり、一人では対応しきれない
- ごみの量が多すぎて、自治体のごみ収集では処分できない
- 重量物や危険物(農薬や老朽化した石油ストーブなど)の処理が必要
- 家屋の老朽化が著しく、解体が必要
- 大量のネズミの糞や死骸があり、害虫被害が深刻
- 所有者が遠方に住んでおり、現地での対応が困難
自力対応が困難な例 | 業者に依頼した方が良い理由 |
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大量の家財道具 | 一人での作業が難しい |
ごみが多量 | 自治体のごみ収集だけでは処理し切れない |
重量物や危険物 | 専門的な処理が必要 |
家屋の老朽化 | 解体が必要な場合がある |
害虫被害が深刻 | 専門的な防除作業が必要 |
遠方に住んでいる | 現地での対応が難しい |
このように、状況によっては自力では対応が困難です。そのような場合は、早期に専門業者に相談することが賢明でしょう。
業者選びのポイント
空き家の片付けは業者に依頼することをおすすめします。自力で行うと、作業の大変さや処分方法の分からなさなどで、トラブルに巻き込まれる可能性があります。
業者選びのポイントは以下の通りです。
- 実績と信頼性
- 過去の実績を確認する
- 信頼できる第三者機関から認定を受けているか確認する
- 料金プラン
- 作業内容に応じた明瞭な料金設定があるか
- 追加料金が発生しない明確な料金プランか
- 作業体制
- 作業スタッフの人数や経験が適切か
- 瑕疵担保責任や安全対策が万全か
- アフターサポート
- 作業完了後のフォローアップがあるか
- お客様対応に定評があるか
複数の業者を比較検討し、価格だけでなく上記ポイントをクリアする業者を選ぶことが重要です。
4.業者に依頼した場合の費用
費用の相場
空き家の片付けに要する費用は、一概に決められるものではありません。家の広さ、ごみの量、立地条件など、さまざまな要因によって変わってきます。
おおよその目安としては、以下のような相場となっています。
家の広さ | 費用の相場 |
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2LDK | 15万円前後 |
3LDK | 20万円前後 |
4LDK | 30万円前後 |
ただし、これは最低限の費用で、家の状況によっては上乗せされる可能性があります。例えば以下の場合は追加料金が必要となります。
- ごみが非常に多い
- 遺品整理が必要
- 家具の移動や搬出が多い
- エアコンの撤去が必要
- 害虫の駆除が必要
このように、空き家の片付けに係る費用は家の状況によって大きく変わるため、事前に業者に見積もりを取ることをおすすめします。
費用を節約するコツ
空き家の片付けを業者に依頼する場合、費用が気になるところです。費用は空き家の状況や地域によって異なりますが、一般的な費用の相場は以下の通りです。
項目 | 相場 |
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単身世帯 | 10〜20万円程度 |
一般家庭 | 30〜50万円程度 |
大型家屋 | 100万円以上 |
費用を節約するコツとしては、以下の点に注意しましょう。
- 不用品を事前に処分する
- 作業員の人数を絞る
- 作業時間を短縮する
- オフシーズンに依頼する
特に不用品の処分が重要です。業者に処分を任せると高額になるため、自分で処分できるものは前もって処理しておくことで、大幅な費用削減が期待できます。
また、複数の業者から見積もりを取り、比較することも費用節約のカギとなります。業者によって得意分野が異なるので、空き家の状況に合わせて最適な業者を選ぶことが賢明です。
5.空き家の片付けを適切に行うためのまとめ
空き家の片付けは、単に物品を処分するだけでなく、法令を遵守し、地域の環境も守る必要があります。
まず、自力で片付けられるケースと業者に依頼したほうがよいケースを見極めましょう。大まかな目安は以下のようになります。
自力で片付ける場合 | 業者に依頼する場合 |
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ゴミの量が少ない | ゴミの量が多い |
害虫やカビがない | 害虫やカビが発生している |
大型の家具がない | 大型の家具が残されている |
自力で片付ける場合は、部屋ごとに計画的に進め、家族と十分に相談しながら進めましょう。また、ゴミの分別や処分方法にも気をつける必要があります。
業者に依頼する場合は、信頼できる業者を選び、費用の見積もりを複数社から取るのがおすすめです。地域の空き家対策協議会などに相談するのも良い方法です。
いずれの場合も、近隣住民への配慮を忘れずに、適切に空き家の片付けを行いましょう。