【空き家問題】2つの原因と今後の対策、空き家活用方法

2022年も増え続けている「空き家問題」

近年増え続けている「空き家問題」には大きく分けて2つの原因があります。
空き家問題の原因である1つ目は、日本の高齢化社会が進むにつれて、団塊世代の相続などが進んでいることです。このことにより、空き家が急速に増加しています。
空き家問題の原因である2つ目は、空き家の所有者が空き家の管理・活用について問題を抱えていることです。
以上2つの原因から、空き家問題を解説していきます。

原因①高齢化社会

総務省の調査結果と2033年の空き家数予想

2013年の総務省調査によると、全国の空き家数は約820万戸ありました。
これはつまり、日本全体の住宅で、7戸に1戸が空き家という状況になっています。
2033年頃には、空き家数2,150万戸、つまりは日本全体の住宅で3戸に1戸が空き家になるという予測となっています。

空き家の種類4分類

「空き家」と呼ばれるものは、以下の4種類に分けられます。

  • 売却用の空き家:販売中の空き家で、不動産会社が管理している
  • 賃貸用の空き家:入居者募集中の空き家で、不動産会社が管理している
  • 二次利用の空き家:普段使っていない別荘などで、所有者が管理している
  • その他の空き家:上記の3種類以外で、所有者が管理している

問題は売りにも貸しにも出されていない空き家

問題になっているのは、売り貸しされていない上に定期的な利用もしていない状態の「その他」の空き家です。
2013年時点、820万戸のうち318万戸、つまり約39%がこのタイプの空き家となっています。

空き家となってしまう原因

最も多い原因は、自宅を所有する高齢者が施設(老人ホームなど)や家族(子供や親戚など)の家に転居することです。
今後、団塊の世代が高齢者となり、高齢者の数は急激に増えていきます。
それに伴い空き家の数も当然急激に増えていくことでしょう。特に駅から遠いところ、つまり移動や買い物などにおける利便性の悪い地域にある住宅街では空き家の増加が特に目立つことが予想されています。

空き家が増えるということは、つまりその地域の住人が減るということと同じです。
住人が減ると当然その地域の活力は低下しますし、道路や水道、電気となどのインフラを維持することが難しくなります。
例えば、とある道路の利用家族数が100家族→50家族に減った場合、1家族あたりの道路維持の負担は2倍となります。
その他、スーパー・銀行・クリニックなど、人が生活をする上で欠かせない施設の撤退も出てくきます。

高齢化による空き家増加への対策

日本政府は、2025年には「その他」住宅の空き家を500万戸から100万戸に抑制することを目標として掲げています。
しかし現状は、建物の解体数は年間約50万戸で、逆に新築供給が100万戸弱あります。この数を逆にしなければならないということになります。
買い手がどんどん減っている状況の中で、活用や解体を促していく必要があるので非常に難しい目標だと考えられております。

原因②空き家所有者の管理・活用課題

2015年5月に空家等対策特別措置法というものが施行されました。そこから「空き家問題」という言葉を耳にする機会が多くなっています。
空き家問題というものは基本的に所有者側の視点ではなく、近隣住民の視点で考えられ、語られることがほとんどなのです。
その結果、「空き家は迷惑である」「地域の景観や活力・安全を損なうものである」「近隣住民は被害者である」というイメージがついてしまっています。

しかし、空き家は「所有者が悪」「近隣住民は被害者」という形に限ったものではありません。所有者自身も、実は空き家の管理・活用について問題や課題を抱えていることが多いのです。
そして、それは法律・税制、または物理的な問題であることも多いです。その為、簡単に解決することができません。

所有者が抱える問題とは

空き家の多くは「もともと高齢者が住んでいた自宅」もしくは「親から子供たちが相続した実家」です。
その為、空き家にはそれぞれの家族との想い出が詰まっていたり、大切に考えている場合も多いです。そしてその大切な空き家を利的活用することに抵抗があるという方も非常に多くいらっしゃるのが現実です。

親が自宅を所有しているケース

高齢になる親が施設(老人ホームなど)や家族(子供や親戚など)の家に転居して自宅が空き家になった場合、自宅を利活用するためにはいくつか障壁があります。

  • 片づけを始めても昔のことを思い出してなかなか整理が進まない
  • 最期は家に戻りたいと思っているので利活用できない
  • 認知症を患い利活用の判断ができなくなってしまっている

自分の子供たちから「管理が大変」と売却を勧められても、同意してくれる親は多くないようです。このような理由で高齢者の自宅は長い間空き家状態になってしまうのです。

子供が実家を相続しているケース

上記のケースのように、自宅の利活用を躊躇するのは親だけではありません。子供たちが相続した後であっても、実家の利活用は簡単ではないのです。
子供たちは多くの場合で実家から離れた土地に住んでいて、利活用について誰に相談すべきかが分かりません。
また、利活用について兄弟間で争いになってしまうケースも多々あるようです。
誰か一人が売却するということを主張し、別の兄弟が売却に反対するといったこともあります。こればかりは感情論も絡まり正解がありません。

管理・活用が難しい場合の対策

空き家である間は適正管理が必要

ここまで見てきたように、自宅や実家が空き家になってしまう理由は様々です。
さらに、利活用は「明日から」とすぐにできるものではなく数年、もしくば10年以上かけないと走り出せないこともあるでしょう。
その間、誰も利用していない住宅は、誰かが利用している住宅と比較して劣化が非常に速くなります。劣化が進んでいくと、屋根や外壁などの建材が剥がれ落ちたり、建物が傾いて倒壊する危険性が高まったり、様々な問題を引き起こします。

また、庭の管理が不十分だと庭木や雑草が景観を乱します。さらに蚊やハチ、ネズミやハクビシンなどを発生させてしまうことも。そうならないためにも、所有者は空き家をしっかりと管理する必要があります。

空き家の管理が行き届かず、周辺環境に(住民なども含め)悪影響を及ぼしてしまっている場合、平成27年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいて行政指導・処分が行われます。万が一自身での管理が難しい方は、必ず管理代行業者に管理を依頼しましょう。

適正な管理が求められる時代に

空き家条例/空家等対策特別措置法の制定「特定空家」に対する経済的・社会的制裁が要求され、空き家管理サービスを利用しなければならないケースが急増しています。
行政の取り組み都道府県は「特定空き家」指定のための指針策定。
市町村は空き家対策の窓口となりましたが、だからこそ空き家対策に関する取り組み(空き家実態調査、協議会設置)が市町村によってかなりばらついています。
その為、詳細は所有する空き家の自治体へお問い合わせください。

このように、空き家問題に悩む空き家の所有者さまからのご相談をいただくことが多いです。
空き家の管理や活用については、空き家活用のプロであるリスタートジャパンにお気軽にお問い合わせください。