1.はじめに
空き家の適切な管理が重要な理由
空き家が適切に管理されないと、様々なトラブルが発生する可能性があります。
例えば、以下のようなリスクがあげられます。
リスク | 内容 |
---|---|
防犯上のリスク | 空き家に不審者が侵入し、犯罪の温床になる恐れがある |
防災上のリスク | 老朽化した空き家が倒壊し、周辺地域に被害が及ぶ恐れがある |
環境衛生上のリスク | ごみの不法投棄や、害虫の発生源となる恐れがある |
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、空き家の適切な管理は重要なのです。
特に、水道の適切な管理は欠かせません。水道管が凍結すれば破裂し、大量の漏水や家財への損傷が発生する恐れがあります。また、長期間放置されれば高額な水道料金が発生するリスクもあります。
このように、空き家の管理は所有者の責務であり、適切な対策を講じることが不可欠なのです。
2.空き家の水道を止めるタイミング
(1)長期不在が見込まれる場合
長期的に不在となる場合、空き家の水道を止めておくことをお勧めします。代表的な例としては以下のようなケースが挙げられます。
ケース | 説明 |
---|---|
長期出張や単身赴任 | 数ヶ月以上の長期出張や単身赴任の際 |
介護施設への入所 | 自宅から離れた施設への長期入所の際 |
長期旅行 | 数ヶ月以上の長期旅行の際 |
このように、数ヶ月以上にわたり長期不在が見込まれる場合は、事前に水道を止めておくことが賢明です。
長期不在中に水道を止めないと、凍結による水道管の破裂や、水漏れ等のトラブルが発生するリスクがあります。また、無人の状態で水が流れ続けると、高額な水道料金が発生する可能性もあります。
このようなリスクを回避するため、長期不在が見込まれる場合は事前に水道を止めておくことが大切です。
(2)売却や解体を検討している場合
空き家の売却や解体を検討している場合は、水道を止めることをおすすめします。以下の理由から早めの手続きが賢明です。
- 水道料金の無駄な支払いを防ぐ 売却や解体の間、長期的に使用しない水道に対して料金を支払い続けるのは無駄です。メーター検針前に水道を止めれば、その分の料金を節約できます。
- 買主への引き渡し状況を整える 売却する場合、買主に適切な状況で物件を引き渡す必要があります。水道を止めておけば、水漏れのリスクを軽減できます。
状況 | 水道を止めない場合のリスク |
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長期に渡って人が不在 | 水漏れが起きても気づかず、大規模な被害に |
建物の解体工事中 | 作業中に水が出て、現場が水浸しになる恐れ |
- 解体工事の安全を確保する
解体業者による工事の際、水が出ていると作業が困難になります。事前に水を止めておけば、安全な解体が可能です。
このように、売却や解体を控える空き家では、早めに水道を止めることが賢明な対応となります。
3.水道を止めない場合の注意点
(1)凍結による水道管破裂のリスク
空き家の水道を止めない場合、最も注意が必要なのが凍結による水道管破裂です。寒冷地では特に危険で、大きな被害を招くリスクがあります。
凍結が原因で、次のような事態が起こる可能性があります。
- 水道管の亀裂や破裂
- 水漏れによる家財への浸水被害
- 高額な水道料金の発生
寒冷期に長期不在になる場合は、必ず水道を止めることをおすすめします。留守中に万が一の事態に備え、次の対策も有効です。
対策 | 概要 |
---|---|
暖房 | 必要最小限の暖房を入れ、凍結を防ぐ |
断熱 | 窓や隙間から冷気が入らないよう対策する |
点検 | 定期的に家屋の点検を行う |
このように、空き家の適切な管理が重要です。凍結による被害を未然に防ぐための対策が欠かせません。
(2)水漏れによる家財への損傷
空き家の水道を止めないと、万が一の水漏れで家財が損傷するリスクがあります。長期不在時に水漏れが発生すれば、発見が遅れるため被害が拡大します。
水漏れの原因は以下のようなものが考えられます。
- 老朽化した水道管の劣化・破損
- 凍結による水道管の破裂
- 蛇口の不完全な閉止
- 洗濯機ホースなどの接続部からの漏水
被害の例としては、以下のようなケースが想定されます。
漏水場所 | 被害例 |
---|---|
天井・壁内 | 天井・壁の劣化、カビの発生 |
床下 | 床材の劣化、重要家財の損傷 |
屋外 | 土砂流出、地盤沈下 |
漏水が長期化すると、家財のみならず建物自体に深刻な損害が及ぶ恐れがあります。このように、空き家の適切な水道管理は家財保護の観点からも重要です。
(3)高額な水道料金の発生
空き家の水道を止めずに長期間放置すると、水漏れに気付かないまま高額な水道料金が発生するリスクがあります。水道局によって異なりますが、通常の家庭用の水道料金は、以下のような構造になっています。
区分 | 内容 |
---|---|
基本料金 | 検針や給水管理などの固定費用 |
従量料金 | 実際の使用水量に応じた変動費用 |
長期不在の空き家であれば、使用水量はゼロですから従量料金は発生しません。しかし、基本料金は検針の有無に関わらず毎月課金されます。
さらに、水漏れが発生した場合は高額の従量料金が加算されてしまいます。水漏れの箇所や期間によっては、数万円から数十万円の高額請求になる可能性もあります。
したがって、長期不在が見込まれる空き家については、水道を止めて基本料金の発生を防ぐことが賢明です。水漏れのリスクを回避できるメリットも大きいといえます。
4.水道を止める際の手順
水道局への連絡と手続き
空き家の水道を止める際は、最初に水道局へ連絡し、手続きを行う必要があります。手続きの方法は、各自治体によって異なるため、詳細は管轄の水道局にご確認ください。
基本的な手続きの流れは次の通りです。
- 使用中止の申請
- 電話やメール、窓口で使用中止の申請をします
- 申請時に水道メーター検針票の控えが必要な場合があります
- 使用中止の日程調整
- 申請後、水道局から使用中止の日程を連絡します
- その日に立ち会いが必要な場合があります
- 水道メーター口径に応じた費用の支払い
- 使用中止に伴い、口径に応じた手数料が発生します
- 例) 口径13mm:3,000円、20mm:5,000円(自治体により異なる)
- 水道メーターの撤去
- 使用中止日に水道局が現地に来て、メーターを撤去します
このように、水道局への連絡と適切な手続きが必要です。また、水道の使用を再開する場合にも、同様の手続きと開栓手数料の支払いが必要となります。
5.水道を止めた後の対策
(1)定期的な家屋の点検
水道を止めた空き家でも、定期的な点検は欠かせません。長期間放置すると、予期せぬトラブルに見舞われる可能性があるためです。
家屋の点検項目としては、以下のようなものが挙げられます。
点検項目 | 内容 |
---|---|
外観 | 屋根や外壁の損傷、雨どいの詰まりなど |
内部 | カビや小動物の侵入、漏水の有無など |
設備 | 電気・ガス・水道管の異常の有無 |
できれば月に1回は現地で確認し、少なくとも3か月に1回は必ず点検することをおすすめします。異常が見つかった場合は、すぐに専門業者に連絡し、適切な対処を行いましょう。
また、点検時には家具などの動産にも目を配る必要があります。カビや小動物による被害がないか確認し、必要に応じて保管場所の変更や対策を講じてください。
このように、空き家の適切な管理には地道な努力が欠かせません。定期的な点検を心がけることで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができるのです。
(2)漏水検知センサーの設置
長期不在となる空き家では、水道を止めた上で漏水検知センサーを設置することをおすすめします。漏水検知センサーは、センサー部に水が触れると警報音や通知を発するため、早期の漏水発見につながります。
漏水検知センサーにはいくつかの種類があり、用途に応じて選択できます。
センサーの種類 | 特徴 |
---|---|
置き型 | 洗濯機横や排水溝など、漏水が予想される場所に設置 |
埋め込み型 | 床下や壁内に埋め込んで設置。広範囲の監視が可能 |
ケーブル型 | 水漏れの経路に沿ってケーブルを設置。漏水箇所の特定が可能 |
漏水検知センサーを設置することで、空き家の水漏れによる家財への損傷や、建物の傷みなどを最小限に抑えることができます。ただし、電池切れなどで作動しない場合もあるため、定期的な点検が重要です。
6.まとめ
空き家の水道を適切に止めることは、後々のトラブル防止に欠かせません。長期不在時や売却・解体を検討している場合には、水道を止めることをおすすめします。
水道を止めないリスク | 詳細 |
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凍結による水道管破裂 | 寒冷地では特に注意が必要です。 |
水漏れによる家財への損傷 | 長期間放置すると被害が拡大します。 |
高額な水道料金の発生 | 少しの水漏れでも高額になる可能性があります。 |
水道を止める際は、水道局への手続きとメーターボックス内の元栓閉止、屋内の蛇口からの水抜き作業を行いましょう。その後も定期的な家屋点検や最小限の暖房、漏水検知センサーの設置など、適切な対策が重要です。
空き家の適切な管理には、水道の止め忘れがないよう気を付けることが何より大切です。