空き家の新しい使い道!ユニークな活用事例をご紹介

1. はじめに

空き家の増加と有効活用の必要性

近年、日本の人口減少や過疎化が進む中、空き家の増加が深刻な社会問題となっています。総務省の調査によると、2018年時点で全国に約849万戸の空き家が存在すると推計されています。

空き家数
2013年約820万戸
2018年約849万戸

空き家が適切に管理されなければ、防災・防犯・景観など様々な面で周辺地域に悪影響を及ぼします。一方で、こうした空き家を有効活用できれば、地域活性化や新たなビジネス創出の好機ともなり得ます。

近年、空き家を民泊やシェアハウス、体験施設などユニークな形で活用する動きが全国各地で見られるようになってきました。本記事では、そうした空き家のユニークな活用事例を紹介していきます。

2. 空き家のユニークな活用事例

(1) 民泊やシェアハウスとしての活用

– 古民家を改修した高級民泊施設

古民家を改修し、高級感のある非日常的な空間を提供する民泊施設が登場しています。築100年以上の古民家の趣を活かしつつ、最新の設備を備えた上質な滞在体験を提供しています。古材を活かした内装、茶室や露天風呂など、昔ながらの日本の伝統的な雰囲気を感じられる一方で、Wi-Fi完備やキッチン付きのお部屋など、快適な滞在を実現しています。都会の喧騒から離れ、歴史ある古民家で寛ぐ贅沢な時間を過ごすことができる

– 一軒家をシェアハウス化し若者の交流拠点に

空き家を改修してシェアハウス化し、若者の交流拠点として活用する取り組みも注目されています。地域の空き家を借り受け、リノベーションを施してシェアリビングやコワーキングスペースを設置するなど、若者たちが集い、交流を深めることができる場を生み出しています。単なる居住空間だけでなく、DIYワークショップの開催やクリエイティブな活動の場としても活用され、地域の活性化にもつながっています。空き家を若者の創造的な活動の場に転換することで、空間の有効活用と地域課題の解決を両立させる取

(2) 体験施設やカフェなどの商業施設化

– 古民家を活用したレストラン

空き家の有効活用として、古民家をリノベーションしてレストランに活用する事例が増えています。老朽化した古民家を改修し、その歴史的な佇まいと風情を生かしつつ、現代的な設備を導入することで、独特の雰囲気を持つ レストランが誕生しています。

例えば、築150年の古民家を改装し、地元の食材を使ったフレンチレストランがオープンしました。店内の梁や欄間、格子窓などの古民家ならではの風情を残しながら、キッチンや客席にはモダンなインテリアを取り入れるなど、レストラン空間には古典と現代が見事に融合しています。

– 空き家を改装し手作り体験ワークショップ開催

空き家の有効活用事例として、手作り体験ワークショップを開催するための拠点として空き家を改装するケースがあります。

たとえば、東京都内では古民家を改修し、日本の伝統工芸品の制作体験ワークショップを開催しているNPO法人があります。陶芸や染色、木工など、様々な分野の作家を講師に招き、参加者が実際に手を動かして作品を作る体験ができるプログラムを用意しています。

体験ワークショップ例
陶芸体験教室
藍染め体験
木工教室
手漉き和紙作り体験

このように空き家を改装して体験型のワークショップ施設に生まれ変わらせることで、地域の文化や伝統技術を後世に継承するとともに、観光資源としても活用できます。参加者にとっても、実際に手を動かしながら学ぶ貴重な体験ができる点が魅力です。

(3) アーティストの制作スペースなど文化的活用

– 空き家を現代アートギャラリーに

空き家をアーティストの発表の場として活用する試みも全国で広がっています。古民家の味わいある空間や、長年使われずに放置された部屋の雰囲気は、現代アートの作品を展示するのにぴったりの空間となります。

例えば、東京都内の閑静な住宅街にある古民家を、現代アートギャラリーとして活用した事例があります。アーティストが定期的に入れ替わりながら作品を展示し、訪れた人々は趣のある空間で芸術作品に触れることができます。

従来の美術館空き家アートギャラリー
整然とした展示空間古民家ならではの味わいのある空間
一般的な照明設備自然光が作り出す陰影
作品を鑑賞するための場作品が空間と一体化した独特の体験

このように、空き家をアートギャラリーとして活用することで、従来の美術館では味わえない新鮮な体験が生み出されています。アーティストにとっても、ユニークな空間で作品を発表できるメリットがあります。

– 古民家を舞台に伝統芸能公演

空き家の活用方法として、古民家を舞台に伝統芸能公演を行うユニークな取り組みが各地で行われています。

伝統芸能は、日本の貴重な文化遺産です。しかし、現代社会の中で上演の場を失いつつあるのが実情です。そこで古民家を活用し、伝統ある雰囲気の中で公演を行うことで、芸能の持つ魅力を再発見できます。

例えば、京都では、古民家の座敷を舞台に、能楽の定期公演が開催されています。趣のある作り物の座敷は、まるで時空を超えたかのような錯覚を覚えます。

公演名開催場所
古民家能楽公演京都市内の古民家
歌舞伎鑑賞会伝統的な町家を改装した劇場

また、地方の祭り等でも、空き家を活用した取り組みが見られます。田舎の古民家では、子供から高齢者まで幅広い世代が参加し、地域に根付いた民俗芸能を上演しています。伝統文化の継承と、空き家の有効活用を同時に実現できる素晴らしい試みです。

(4) 地域コミュニティ拠点としての活用

– 空き家を高齢者の集会所に

空き家を地域の高齢者向け集会所として活用する動きが広がっています。高齢者にとって気軽に集まれる場所があることは、閉じこもり予防や認知症リスクの軽減、そして生きがいづくりにもつながります。

集会所の運営主体は、自治体や地域のNPO法人、有志のボランティアグループなどさまざまです。例えば、東京都内の住宅街にある一軒家を改装し、高齢者が自由に利用できる「おらが家(おうちカフェ)」と名付けた取り組みがあります。

開設日時毎週月・水・金 10:00~15:00
利用料金無料(ドリンク代のみ実費)
主な活動趣味の作品作り、健康体操、昔話を語り合う会など

このように空き家を改装し、高齢者が集える場所を提供することで、地域の助け合いの輪が広がり、高齢者の生活の質が向上するのです。行政や専門家のアドバイス、ボランティアの協力を得ながら、空き家の活用を検討することをおすすめします。

– 空き家を子育て支援施設に改装

地域の子育て環境を整備することは、少子化対策や定住促進にもつながります。そこで近年、空き家を改装して子育て支援施設とする取り組みが増えています。

施設名概要
ほっとステイ育児相談や一時預かり、交流スペースなどを備えた子育て総合支援施設。空き家を大規模にリノベーションし、開放的な雰囲気を演出している。
チビッコハウス小規模な空き家を活用し、手作りおもちゃ作りの体験教室や絵本の読み聞かせなどを行う子育てひろば。アットホームな雰囲気が人気だ。

このように、空き家を子育て支援施設に生まれ変わらせることで、子育て世代の居場所が生まれ、地域での子育てを支えるネットワーク作りにも役立っています。改装費用は比較的抑えられるため、立地の良い空き家を上手く活用すれば、効果的な子育て支援施設になり得ます。

(5) 環境教育の場としての活用

– 空き家を活用した環境学習施設

近年、環境教育の重要性が高まる中、空き家を活用して環境学習施設を設けるユニークな取り組みが注目されています。

たとえば都市部の空き家を改装し、屋上菜園やバイオトイレなどの設備を設けた「環境学習センター」を運営する例があります。子どもたちが実際に体験しながら、環境に配慮した暮らし方を学べるユニークな施設です。

また、農山村地域では古民家を活用したケースもあります。

施設名特徴
いきいきエコ村古民家を改修し、薪ストーブや井戸水の利用など、伝統的な自然共生の暮らしを体験できる。
フィールドミュージアム古民家の敷地内で自然観察会を開催。周辺の環境学習の拠点として活用。

空き家を活用した環境教育施設は、子どもたちに環境問題への理解を深めさせるだけでなく、過疎地域の活性化や古民家の保全にもつながります。空き家の新たな可能性を示す取り組みと言えるでしょう。

– 古民家で伝統的な自然共生の暮らしを体験

空き家を活用した環境教育施設として注目されているのが、古民家を舞台にした自然共生の暮らし体験プログラムです。

都市部から離れた山間部の古民家では、電気に頼らず行燈の灯りを使い、薪ストーブで暖をとる伝統的な生活様式が残されています。参加者は、そうした環境の中で、

  • 川での川下り
  • 山菜や野草の採取
  • 草木染め体験
  • 薪割りや七輪での料理体験

などを通じて、自然の恵みに支えられてきた先人の知恵を学びます。

体験メニュー内容
川下り川の生き物観察を交えた川遊び
山菜・野草採取山菜や草花の見分け方、食用部分の見極め
草木染め植物の実や樹皮からとった自然染料を使う
暮らし体験行燈の火おこし、薪ストーブでの暖房と料理

都会的な生活から離れ、先人の知恵に触れることで、自然と共生する大切さを実感できるユニークな体験プログラムとなっています。

3. 空き家活用のための支援制度

(1) 国や自治体の補助金制度

空き家の有効活用を後押しするため、国や自治体では様々な補助金制度が用意されています。

例えば国土交通省が実施している「空き家再生等推進事業」では、空き家の除却、改修、利活用に関する事業に対して補助金が交付されます。補助対象となる事業例は以下の通りです。

事業区分補助対象事業例
除却事業空き家の解体・撤去に係る費用
改修事業空き家の修繕・模様替えに係る費用
利活用事業空き家を活用した新たな事業立ち上げに係る費用

また、地方自治体独自の補助制度も多数設けられています。例えば東京都の「空き家活用推進プロジェクト」では、空き家の改修費や賃借料の一部が補助されるなど、きめ細かな支援が行われています。

このように、空き家の有効活用に取り組む個人や事業者に対して、手厚い補助制度が整備されつつあります。ユニークなアイデアを形にするための有力な支援策となっています。

(2) NPOなどによる専門的アドバイス

空き家の活用を検討する際、NPOなどの専門家から適切なアドバイスを受けることが重要です。様々なNPOが空き家の利活用支援に取り組んでおり、物件の状況や希望する用途に合わせて、以下のようなサポートを受けられます。

  • 空き家の改修計画の立案
  • 補助金の申請手続きサポート
  • 地域住民との調整や合意形成
  • 各種専門家(建築家、インテリアコーディネーターなど)の紹介
  • 運営や管理に関する助言

(3) クラウドファンディングなどの資金調達

空き家を活用するためには、改修費用や運営資金が必要となります。このような資金を調達する手段の一つとして、クラウドファンディングが注目されています。

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から少額ずつ資金を集める方法です。空き家活用のプロジェクトの趣旨や計画内容を発信し、共感した人から資金を募ることができます。

種類概要
購入型返礼品を提供する代わりに資金を募る
投資型出資した額に応じて利益配分を受ける
寄附型返礼は期待せず、純粋に支援する

このように、目的に応じて適切な種類を選ぶことができます。資金調達に成功すれば、地域住民以外からも幅広い支援を受けられる可能性があります。ただし、プロジェクトの魅力を適切に伝える必要があり、個人では限界があります。

そこで、NPOなどの専門家に相談し、効果的なクラウドファンディングの実施方法を学ぶことが重要です。一方で、クラウドファンディングには手数料がかかるため、自治体の補助金制度の活用も検討すべきでしょう。

4. まとめ

空き家の有効活用は、単に空き家を減らすだけでなく、地域の課題を解決し、新たな価値を創造する機会でもあります。本記事で紹介したように、空き家は民泊施設やシェアハウス、商業施設、文化施設、コミュニティ施設、環境教育の場など、様々な用途に活用できます。

このように、ユニークなアイデアを持つ人々と、空き家の所有者とをつなぐことで、空き家は新しい息吹を吹き込まれ、地域に新たな魅力が生まれます。

一方で、空き家の所有者には、活用のノウハウやリフォーム費用の捻出が課題となります。そこで、以下のような支援制度を利用することが重要です。

支援制度内容
補助金制度国や自治体の空き家活用補助金を利用する
専門家支援NPOなどの専門家にアドバイスを求める
クラウドファンディングインターネットを通じた資金調達を行う

空き家の活用には、ユニークなアイデアと適切な支援を組み合わせることが不可欠です。この取り組みを通じて、地域が活性化し、新しい価値が生み出されることを期待したいと思います。